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21.新たな動き
東京に戻る頃にはだいぶ日が暮れていた。 途中でご飯を食べてから家に帰ると、俺は沙織に調べてもらった資料を全部まとめ始めた。 しばらくして、俺はお風呂に入ろうと言って麻衣を連れて浴室に行った。 湯船にお湯がたまるまでお互いに身体を洗ったりして、湯船に浸かり麻衣を後ろから抱きしめると、麻 衣は嬉しい顔をしている。 「麻衣?無理には聞かないけど・・・麻衣達の事を聞かせてくれないかな?いい?」 「・・・うん」 麻衣は、中学校の頃に親は離婚して、長野でお母さんと一緒に高校卒業するまで生活していたが、お母 さんが病気で他界。そして麻衣は1人で生きていくと誓い、東京に上京して今いるDIVAに入り、お店 が用意してくれた部屋に住んでいたと、俺の手をいじりながら話してきた。 店長達にはいろいろ面倒見てもらっていたと言い、DIVAで1番になりたいと心に誓い今まで頑張って きたと言う。 「私ね?ずっとDIVAにいたせいか歌舞伎町が好きなんだ(笑)東京でも有名な場所だから、ここでキ ャバクラ嬢として1番になりたいってのもあって・・・そうなれば、何処にいるのか、生きているのか わからないお父さんに会えるんじゃないかって・・・でも、今日会えた」 麻衣は身体を動かして横向きになった。 「佳ちゃんには本当に感謝してる。私、佳ちゃんと出会ってからいろいろ変わってきてる感じがするん だ。こうして恋人になれて一緒に住んでる。私は1人じゃないんだって(笑)」 麻衣の目には薄っすらと涙を浮かべていた。 俺はそっと抱きしめた。
次の日の午後に、俺は麻衣を連れて警察署に行き、近藤に昨日の事を報告すると、近藤は話しを変え るように交通事故の事を話してきた。 「当時の犯行人は全部で3人。実行するのと監視をするのがいたのが解った。だけどな、車を運転して いたのは事故の時に死んでもういない。そこでだ、別件で追い詰めようかと思ってんだ。」 そう言って、今まで菊池組の組員が何人かが捕まってる事を言い、今回の事で今までのと繋がれば一気 に追い込める事を言ってきた。 「佳悟。これからの事を考えると危ない。そこでだお前のスマホのGPS・・・常にオンにしといてくれ ないか?これはお前のためってのと・・・お嬢ちゃんのためにもだ。いいな?あと、お嬢ちゃんも万が 一を考えてオンにしといてくれないかな?」 麻衣を見ると俺を見ている。 「・・・わかりました。」 そう言ってスマホを出してGPSをオンにした。 警察署を出て車に乗ると、麻衣は俺と近藤の事を聞いてきた。 近藤とは、親父達を亡くした交通事故の時からの付き合いだと言い、それから俺の事を気にかけてくれ ていて、俺が歌舞伎町でちょっとした揉めごとに巻き込まれた時に偶然近藤がきた。 そこで俺が力を使ってたのを見て、最初は不思議がっていたが、今では何かあれば力の事を聞いてくる ようになったと話した。 「あの人ね。何かあれば俺に力使ったのかと必ず言ってくるんだよね(笑)俺の力・・・知っているの は、沙織さんとおやっさん。あと近藤さんなんだ。今は麻衣も知ってるから4人か」 近藤には世話になっていると笑いながら言うと、麻衣は警察署が近所にあるせいか歌舞伎町内でも近藤 は知ってる人が多いと言って笑っている。 この後、俺は麻衣を連れて、おやっさんの診療所に行った。
診療所でおやっさんは、相変わらず何も言わずに俺の腕をマッサージしたりしていた。 「昨日、佐々木さんの所に行ってきたよ」 「・・・そうか」 俺は佐々木と麻衣の事を話すと驚いた顔をしてきた。 「そうか・・・あの人に娘がいるとは聞いていたが・・・そうだったのか」 麻衣が佐々木の状態を聞くと、佐々木の身体は治らないとはっきりと言ってきた。 この事は本人は知らないし、リハビリを前向きにやっているから、誰も何も言わないでいると言う。 「娘さんの目の前ではっきり言うのも申し訳ないが・・・これが現実なんだ。でも、本人は格闘や武道 をしていたからなのか、他の人に比べるといい方向に行く可能性は無きにしもあらずなんだ」 おやっさんは、それに賭けてもいいと言っている。 少し話してから外に出ると、麻衣は何も言わずにいた。 「麻衣?元に戻る可能性はゼロじゃないみたいだから、それを信じよ?ね?」 麻衣は何も言わずにうなずき、俺は笑いながら沙織に電話してこれから行ってもいいか確認した。 「今から沙織さんの所に行こ?」 麻衣の手を握り歩きだすと、麻衣は腕組をしてきた。 沙織の事務所に行くと、いつものように忙しくしている。 俺達がソファーに座ると、沙織が向かいに座ってきた。 「沙織さん。昨日、行ってきたよ」 そう言って、佐々木の状態を話して麻衣の事を話すと驚いている。 「そっかぁ・・・偶然って言うか・・・信じられない話しだね。でも、再会出来てよかったね」 言うと麻衣は少し照れながらうなずいている。 佐々木のいる施設に菊池組が来た事を話すと沙織はまた驚き、ため息をついた。 「なんか・・・話しが大きくなってきたね・・・佳ちゃんは大丈夫なの?」 「うん。俺は大丈夫・・・あ、話しが変わるんだけど・・・佐々木さんが今いる施設から他の施設に移 動って出来るの?」 そう言って、菊池組の事を考えると施設を変えたほうがいいと言うと、麻衣は驚いて俺を見てきた。 沙織は移動出来るけどお金はかかると言う。 お金は問題ないと言うと、沙織は調べてあげるから解ったら連絡すると言ってきた。
沙織の事務所を出ると、麻衣は施設の事を聞いてきた。 地下駐車場に行き車に乗ると、俺は麻衣を見ている。 「お金の事は気にしないでいいよ(笑)これは俺からの恩返しって言うのかな?麻衣のお父さんっての もあるけど・・・俺にとって・・・いろいろお世話になった人でもあるから」 「・・・でも・・・」 麻衣の反応に俺はニコッとして、何も言わずに俺に任せてればいいと言うと、苦笑いをしている。 「さ、これからどうしようか?」 「あ・・・お店に行きたい。この時間ならもう店長いるだろうし、今後の事を話したいんだ」 俺はうなずき歌舞伎町に向かった。 お店の前まで行くと、話してくるからカフェで待っててと言って、麻衣は行ってしまった。 カフェに行くとDIVAで起きた事件の事を聞かれ、店長も歓楽街のような場所は喧嘩やいろんな事件が 多い場所でもあり、自己防衛は難しいとも言っている。 この後、麻衣も合流してきて、3日後に仕事復帰する事にしたと言う。 麻衣は店長にもいろいろ言われて、このままじゃいけないと自覚したと話している。 俺は頑張れとしか言えないでいた。
2日後に、沙織から療養施設の事で連絡があった。 事務所に行くと、施設関係会社の担当もいて俺と麻衣は書類を見せてもらいながら説明を受けた。 場所は那須高原。リハビリ関係も充実している設備があり、専属のトレーナーもいるようだった。 料金を聞くと、契約金の他にも毎月定額の管理費を支払うようだ。 金額は意外と高いが契約したがる人が多く、偶然にも今は空きがあると言っている。 説明を終えて返事は後日すると言う形で終わりにさせた。 担当者が帰ると、沙織はもし俺が契約するならもう少し料金を下げさせると言う。 「あ、もし契約するとして・・・施設に護衛じゃないけど置く事って出来るのかな?今後、また同じよ うな事にならないように」 「ん~どうだろう・・・ここは常駐でいるみたいだけど・・・施設の警備だから人の護衛をするような 警備じゃないからなぁ・・・・聞いてみるよ」 俺はお願いしますと言うと、麻衣は複雑な顔をしている。 事務所を後にして家に向かっていると、麻衣は施設の事を言ってきた。 「お金・・・かなり高かったけど・・・」 「ん?あ~。お金は大丈夫だよ(笑)」 「でも・・・」 麻衣は俺に負担をかけすぎると言ってきたが、俺は気にすることないと言うと何も言えずにいる。 俺は笑いながら家に向かって運転していた。 家に帰ると、俺は麻衣に家にある銀行とゆうちょの通帳を全部見せた。 麻衣は、通帳に記載されている金額を見て驚きを隠せないでいる。 俺は笑いながら、通帳に入っているお金は親父が現役の頃に毎月振り込んでいたのと、保険金や家賃収 入等が全部入っていると言うと、麻衣は苦笑いをしている。 「俺、普段何もしてないからお金はあまり使わないんだ。あ、車買ったけどね(笑)前にも言ったけど さ、俺は恩返しのつもりだから麻衣は気にしないでいい。ね?」 「・・・佳ちゃん・・・本当にありがと」 俺は笑いながらタバコを吸っていた。 |